「事故物件」とは、専門的には「心理的瑕疵がある物件」といい、自殺や殺人、火災といった過去になにかが起こったことが原因で、心理的な瑕疵(欠点・欠陥)がある物件をさします。他には「訳あり物件」や「告知物件」といった呼び方もあり、告知物件とは、何かしら買主に伝えるべきことがある場合、物件概要に「告知事項あり」という文言が記載されますのでこうした名前で呼ばれます。
このような物件が売りに出される場合、どんな事象が過去に起こったかの度合いにもよりますが相場の5割~7割ほどの価格で売りに出されるのが通常です。ただし、5割~6割程度の価格であれば売り出されてすぐに買取再販業者が購入し、内装リフォームをかけて8割~9割程度の価格で再販されるので、一般の方がここまで値引かれた物件を目にするのは難しいでしょう。もちろん、再販業者は過去の事件や事故を買主に通知して物件を販売しますが、こういったことがあまり気にならないと言った方(例えば医師や看護師のお客さんが多いです)が少しのお得感で購入されます。
事故物件を購入し、後からその事実に気づいた場合、貸すときや売るときに大きなデメリットとなりますので購入前にご自身で調べておくことが大変重要です。なぜなら売主や不動産業者は知っている事実を通知しなければなりませんが知らないことに関してはなにも伝えないからです。例えば、マンション(区分所有建物)の売買が行われる場合、不動産業者はマンションの管理会社へ「重要事項に係る調査報告書」というものを発行してもらうように依頼をします。これは、当該物件の状況やマンション全体の管理状況を知るために必要となる書類ですが、良くて事件や事故があったということだけが記載されており、なにも記載されていない場合もあります。これは、こうした事象が個人情報保護やプライバシーの観点に関わるからです。なにも知らずに購入した方が事故物件だと気づくケースとして、入居後に近所の人に教えてもらったり、売る(貸す)際になかなか相手が見つからず、調べてみたらネットニュースに出ていたなんてこともあります。
こうした後から気づくという最悪のケースを避けるためにご自身でできる事故物件の見分け方を4パターンお伝えします。
1.「大島てる」で調べる
大島てるというのは、事故や事件があった際にその事実を誰でも投稿できる投稿型情報サイトです。
「大島てる」
膨大な情報数が投稿されており不動産業者も利用しているサイトです。まずはこのサイトで事件・事故が投稿されていないか調べましょう。ただし、ごくまれではありますが間違った情報(物件自体・部屋番号)が登録されている場合もあるので注意が必要です。
2.「インターネットニュース」で調べる
今のニュースではマンション名や詳細住所までは報道されませんが、昔のニュース記事であれば物件を特定できる情報まで報道されていることがあり、その履歴から調べることが可能です。
3.「登記簿謄本」で調べる
不動産の所有者名は法務局で取得できる登記簿謄本にてその不動産ができてから全ての所有者名義を調べることができます。登記簿謄本はご自身で取得しなくても見学時に不動産屋に言えば見せてくれます。この登記簿謄本上の所有者名をインターネットで検索し、過去になにかあったかを調べることも可能です。事件や事故が起こったニュースが報道された日付の後に、物件所有者が変わっている場合は高確率でその物件ということもあります。物件所有者が頻繁に変わっている場合も、何かしら理由があるのでたとえ事件や事故が原因でなくても不動産屋に調査してもらうことをおすすめします。ただしこの方法の場合、過去に所有者が物件を賃貸にだし、その賃借人が事件や事故に合ったという場合にはつかえません。
4.「聞き込み」で調べる
いきなり近所の人に聞き込みをするというのはあまりおすすめしませんが、上記方法で調べた結果疑わしいことがあり、不動産屋に聞いてもわからないと言われた場合の最終手段でこの方法もおすすめします。
事故物件は売主がその事実を告知していない限り、見つけるのが相当困難です。ただし、物件を購入して引渡から年月が経過した場合に事実が判明してもどうにもならないということがほとんどです。こうしたことを避けるためにご自身でできる限りのことはやっておきましょう。